注意! ウィンリィがいろいろグロいコト(自傷)をやってしまっているので、
許せる方だけお手数ですが反転してご覧ください。
「もう…待たせてくれないんだね」
延々と続きそうな静寂。彼女の髪を、慰めるかのように風がなでてゆく。
大切な人との永遠の別れ。それは、18歳の彼女にとっては耐え難い苦痛だった。
お題 5番 闇 ウィンリィ中心
「ウィンリィ…さん? 大丈夫ですか…?」
隣でシェスカが心配そうにウィンリィの顔を覗き込む。
「えぇ…大丈夫。アイツが旅立っていくのを見るの…慣れてるから」
飛行船が消えていった方向を、それこそ穴の開くほど彼女は見つめている。
―旅立っていった…。いつか帰ってくる― その意識は、もはや彼女の中にない。
ただ、はっきりと。自分の中で感じていたこと…体は、正直だ。
「エド……エド…っ………」
頬を涙がひとすじ伝う。その顔を手で覆い隠して、いとしい人の名を呼ぶ。
その声は届くことなく、風と共に去り、風と共に消えてしまった。
廃墟と化してしまったセントラルで、ウィンリィは復興作業の手伝いをすることになった。
軍が死守した中央司令部の一室を借りて、そこで寝泊りをしながら。
「おはようございますリザさんっ!今日は何をすればいいですか?」
「おはよう、ウィンリィちゃん。さっそくだけど……」
彼女は周りに極めて明るく振る舞った。自分は大丈夫だ、とアピールするように。
それが逆に、彼女の心の中をさらけ出させていた。
悲しみ一色に染まった、生きる希望を失っているかのような心を。
「どーしたんだろう、ウィンリィさん…心配だから見に行ってって頼まれたのはいいけど…。
すっごくヘコんでたしなぁ…。大丈夫かなぁ?」
朝一番で作業場所に飛んでくるウィンリィの姿がみえないのを心配したホークアイ中尉が、
シェスカに様子を見てくるように頼んだのだった。
なんて声をかけよう…という思考が脳内を駆け巡る中、部屋の前にたどり着く。
コンコン 「ウィンリィさーん?」
…返事はない。
ガチャッ 「はいりますよー?」
シーン とした部屋の中央で、彼女―ウィンリィは座り込んでいた。
「ウィンリィ…さん?」
ようやくシェスカが入ってきたことに気付いたのか、彼女は振り向いた。
と、そのとき、シェスカの目にあるものが飛び込んできた。
「ちょっ…ウィンリィさん?!」
彼女の右手に握られていたのは鋭いナイフ…それも、赤い液体が…。
また顔をもと向いていた方向に戻して、自分の左腕を見つめる。
ポタリ ポタリ と、床に赤いシミができていく。
そして、右手でナイフを握り締め、新たに斬りつけようとした。
「やめてくださいっ!気は確かですか、ウィンリィさん!」
駆け寄ったシェスカはとっさにウィンリィの右手からナイフをもぎ取った。
ポケットからハンカチを出すと、急いで止血をした。
「大丈夫…そんなに深く斬ってないもの…医者の子よ、それくらいわかるわ…」
「じゃぁ なんで人を助ける医者がこんなことやってるんですかっ!」
そこで始めてシェスカはウィンリィの顔を見た。そして、息を呑んだ。
いつもの透き通った青い瞳が今日は曇りきって、何も見ていないかのよう…。
「もう…何も見えない。真っ暗…闇の中をヒトリ、さまよってるだけ…」
「何言ってるんですか!私も、ホークアイ中尉も、マスタング大佐も、みんないますよ!
みんながみんなウィンリィさんのこと心配してます!」
「でも…もうどこにも…アイツはいないもの…。暗い世界に一人でいるのは、もうイヤ…」
「エドワードさんだって心配してます! エドワードさんは、すぐ諦める人じゃないでしょう?
きっとこっちに戻ってくる方法を必死になって探してます!
彼が帰ってきたとき、あなたがそんなでどうするんですか?!」
「………帰ってくる?」
「帰ってきますよ! エドワードさんなら、絶対!」
「エドなら…絶対?」
「あなたが知っているエドワードさんはどんな人ですか?
私の知り合いのエドワードさんは、何かのために一直線に突き進んでいく人でした!
あなたの幼馴染のエドワードさんは、どんな人ですかっ?!」
「私の知ってる、エド…」
しばらくの沈黙。うなだれたウィンリィの返答をシェスカは待った。
「おっはようございますリザさん!…あれ、今日はロイさんも一緒ですか?」
「おはよう。今日も元気ね、ウィンリィちゃん。今日はハボック少尉と…」
ウィンリィはリザからの指示を真剣に聞いて、ハボック少尉のもとへとかけてゆく。
それを見守っていたロイは、シェスカに疑問を投げかけた。
「…彼女はもう大丈夫かね?」
「えぇ、大丈夫…だとおもいます。」
「根拠は?」
「この前の事件、聞きましたよね? あの時、彼女が言ったんです。それが根拠です」
「ほう。なんと言ったのかね? 差し支えなければ…聞かせてくれないか」
「それはですね…」
『私の知ってるエドは…豆で私の最高級オートメイルをよく壊す、
自分の目的のために罵詈雑言を覚悟で軍の狗にすすんでなるようなバカ…。
でも、ばっちゃんやあたしや、アルとか周りの人のことをすっごい大切に思ってて…
ちょっとつまづくといつも強がってるせいですぐ自身をなくしちゃう…そんなヤツ…。
……そういえば、元の体に戻るまで一生サポートするって約束したっけ…。
まだ…元の体に戻ってないんだっけ……。あの馬鹿、まだ死ねないじゃない…』
5番 闇 終わり
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終わりました…ケド…ま、まさかこんな形で…というより何故自傷ネタを書こうなどと思い立ったのか?!
ふ、不思議…ダーク系お題なのでいつか出てきちゃうかな…と思っていたらよりによってココで?!
ちょっと弱気なウィンリィさんのお話でした。本当は「血」で書こうかな…って思ったんですけど、
それよりも「闇」のほうでやったほうが孤独感がでるかなぁ…って(動機が不純っ!
2006年11月15日 UP
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