明日は全女子の決戦の日。何をあげるかは決まっている。…チョコレート。
クリスマスに次ぐ、格好のアタック時。2月14日、バレンタインデー。
Sweet Time バレンタインエドウィン
「おはよう〜、ウィンリィ!」
「おはようアル。…エドは?」
「兄さんなら…ほら、あっち」
自分の後方を指差すアル。その先には5分前まで眠っていたというような様子のエド。
「……アイツ、昨日何時に寝た?」
「昨日は寝てないよ。寝たのは今日の2時」
「………こりないわね」
授業中は居眠り。でも何故かテストの成績はまぁまぁ。もはやウチの学校の七不思議。
「ほら、起きなさい!」
バシッ おデコにデコピンを1発お見舞いしてみる。
「うるせえな…ふあぁ…起きてるよオレは…」
「顔が寝てるんだよ、兄さん」
「うるせぇな…頭が起きてりゃいいだろ……ふあぁ」
まったく…アホかコイツは……今日がどういう日なのかわかってるの…?
学校に着くと玄関からもう大騒ぎ…男子が。
靴箱をしきりにのぞいたり、女子という女子に目を配らせる人…。
『そんなにチョコが欲しいの? あげないわよ。』 という目つきで通り過ぎる女子。
私もそのヒトリ。一緒に来た二人はたいした興味もなさげに靴箱を開ける。
ちょうど向かい側にある二人の靴箱。 カパッ ……すると。 ドサドサッ
「わっ…!」
「んだよこれ…」
両方の靴箱からチョコが落ちてくる。ざっと見て合計11、2個?
その途端、なにかゾクッとする物を感じた。周りを見回すと…うわ。
「…エド、アル、早く逃げるわよっ」
「え?なにが…うわ」
「早く寝たい……」
周りの男子の嫉妬の目線に気付いたアルと気にしないエド。
その後もこの兄弟はチョコをもらっていた。
目の前でエドがチョコをもらってるのを見るのは…複雑。あたしはどうしようか…。
悩んで気付けば2時間目の体育。
校庭に出るために カパッ と靴箱を開けると、メモが入っていた。なに…?
『ウィンリィへ チョコ兄さんにあげるんでしょ?放課後屋上に兄さん待たせておくから…』
………ありがとう、アル〜〜ッ! と心の中で叫んで体育へと向かう。
「気をつけ…礼ッ」 「「「さよなら〜」」」
まともな挨拶もなしにみんな教室を一斉に立ち去る。部活に行きたくてたまらない人、
早く帰りたい人、そして…これから決戦を迎える女子。
エドからワンテンポ遅れて屋上に行く。見回すと…早くも座り込んで爆睡。
「はぁ〜…起きろ、眠れる天才!」
バシッ ビシッ 特別に2回デコピンしてみる。
「……なんだよ、ウィンリィ。いてぇぞバカ」
「起きてたの? そりゃぁ悪かったわね〜」
「……で、なんの用だよ」
「あ…ええっと…」
「アルがオレを呼び出すことはまず無い。あるとすれば、お前の代行…」
「………今日のイベントのコトで。これ渡そうと思って…」
くっそ〜全部お見通しか…そりゃまそうだろうケド。あたしはチョコの入った箱を取り出す。
エドはやっぱりか、みたいな表情をして ハァ〜 と溜め息をつく。そして、かすかに笑って
「サンキューな」
ひょい っと箱を受け取る。
「座れよ、ほら。どーせ女テニ部は今日、告白休暇だろ?」
「え…う、うん」
言われるがままに ひょっ と隣に座る。
「…あたしたち、小さいころから沢山ケンカしたよね…」
「そーだな……ガキん時からずっと一緒だったな…」
「……………あ、あたしは…エドのこと…好き……だよ……?」
「…………ぷっ。あっはははは!」
「な、何がおかしいのよっ! そ、そのチョコ…一応…本命なんだよ?!」
「いや〜わりぃわりぃ。…お前もやっぱり女なんだなと思ってさ」
「どっ……どーいう意味!?あたしが男っぽいとでも…」
そういいかけた途端、肩を掴まれて、あたしは無理矢理体ごとエドのほうに向かせられた。
「きゃっ…な、何?」
「オレも…。お前のこと、ずっと……」
そういうと、ヤツはすばやくほっぺに口を押し当てた。 …思考回路は五秒停止。
「………。 !?」
「あーねみぃ。とっとと帰るかな…ふあぁ」
「……?? ちょっと、ずっと…?」
「うっせーな、自分で考えとけ!」
翌朝、当然のことながら、マトモにヤツの顔を見ることは出来なかった。
けど…あっちも同じようなところを見ると、答えは……YES、らしい。
終わり
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Bitter Sweet様に投稿したバレンタインSSでございます。
な、なんとかバレンタインデーまでに間に合うように送れました…! よかった……。
そして学パロにおさまった経緯はというとですね、親友のバレンタインの相談にのってるうちにです(?
『学パロにしちゃえば書き易いじゃん!』というひらめきの元産み出された作品でございます。
2007年2月11日 UP
背景画像:tricot様
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