今年もクリスマスがやってくる。珍しく、アイツらが帰ってくるという保障つきの。 その根拠は…数ヶ月前にまでさかのぼる。 最高の贈り物 クリスマスエドウィン 「今年はクリスマスプレゼント、エドが何か作ったものにしてよ」 「……はい? んだよイキナリ…クリスマス? まだ随分先じゃねぇか」 「今から言っておかないとほら、エドって結構 悩むじゃない。時間なくなっちゃうし」 「あ、それはいえてる。兄さんってそういうの決めるのニガテだよね」 「うるっさいな! オレはなぁ、相手が一番ほしいものは何かなって必死に考えてんだぞ!」 「へーえ、全然知らなかった。そのわりには大していらないものとかが多いじゃん」 「アルッ! 余計なこと言ってんじゃねぇよ!」 …というわけで、今日はクリスマスイヴ。サンタクロースは今晩やってくるのが一般的。 ばっちゃんに協力してもらって、エドの大好きなシチューも用意した。 あとはプレゼントを待つのみ……と、待って4時間。時計を見ると、午後10時。 「……来ないね、二人とも」 「…そうだねぇ…今日はもう来ないんじゃないかい?」 ―来ない― その一言が、妙に心に突き刺さった。 約束破ったことへの怒り? 寂しさ? なんだろう。モヤモヤする。 カチ コチ カチ コチ カチ コチ 時計の音だけがする。時間は勝手に過ぎていく。待ってくれない。 あのときの会話が夢のように思える。アタシは言ったよね…ちゃんと。 クリスマスプレゼント待ってるから…って。 「………、…早く……行きなって……るじゃん…!」 「……さいな、聞こえ………押すなっ………!」 このヒソヒソ話が聞こえ始めたのは10分前。とっとと入ってくればいいのに…。 …助け舟を出してくれたのはばっちゃんだった。 「ウィンリィ、エドたちを迎えにいかないかい?」 「そうね〜、この暗いなかであの豆を探し出すのは苦労するだろうけど」 「だぁれがぁ〜豆かぁ〜ッ!」 「兄さん! …あぁ、あの単語に無差別に反応して…情けない」 「てめー喧嘩売ってんのかこのクリスマスイヴに……って?」 アタシは文句をイロイロと口走るエドに両手を差し出す。 「約束のプレゼント。忘れた…なんてコトは無いでしょうね?」 「…忘れてなんかねぇよ」 ガチャン …今のは何の音? 気付くとアルとばっちゃんがいない。どゆコト? 「ほれ」 「え?」 エドがアタシの手に乗っけたのは小さな箱。かわいいリボンが付いている。 中身はなんだろう? さっそくはいけーん……ん。 「これって…何?」 「何って…ピアス」 「…作ったの?」 「おう」 箱の中で光っているキレイなピアス。銀色に輝いてるそれは雪みたいだった。 「あ…ありがとう」 「……おう」 「…………ん」 ピアスの内側になにか書いてある…ような…。どれどれ…。 ―The present is me.― 「おっ、美味そうなシチュー! これお前が作ったのか?」 「え、あ、うん、ばっちゃんと一緒に」 「オレもう腹ペコなんだけど食べていい? っつか食うぞ!」 「どーぞご勝手に。アルー? ほら、鎧磨いてあげるからー!」 The present is me. そうかもしれない。 アタシにとっての、最高の贈り物― 終わり -*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*- はいー、ようやく書きあがったクリスマスSSでした〜。いやぁ なんかもう更新滞りまくり。 英文は直訳で全然オッケーです。別に不都合無いと思います。「プレゼントは私(この場合は『オレ』)」が正解。 あー いーなー こーゆーコト言ってくれる人がいるってぇ〜(何 うらやましい。 時々エドウィン書いてると自分が惨めになってくるんですよね……ふぅ。好きな人すらいないし…。 2006年12月11日 UP 背景:700km 様 |