「ただいま、ウィンリィ。」
「………………え?」
目の前には、あり得ない光景があった。

叶わぬ夢   ウィン→エド  映画その後ネタ

「え?…じゃねーだろ、ったく。」
「………エド…?」
「んだよ、当たり前だろ?」
「…………何でここにいるの?」
エドは門の向こうに()ったはず。
もう待たせてくれない、もう帰ってこない。
そのはず。
…………………なのに、目の前にいる。
「なんでここにいるの………?」

「…ま、驚くのも無理ねーな。」
どさっ、といすに座り込む。
「オレだって、わけわかんねーんだから。」
「…………は?」
「だからよ、知らないうちにこっちに来てたんだよ。」

話を訊けば、エドとアルは、現実世界(あっち)に行ってからも
錬金術世界(こっち)に戻ってくる研究をしていて、
どうしても錬金術が(から)んでくるので錬金術を使えないかと苦心していた。
そして、ある錬成陣を書いたとき。気がつけば、そこはダブリスだった。
アルはそのままあっちにいるのか、こっちに来たのか。
それはわからない、という。

「運良くダブリスだったけど、師匠(せんせい)はもういなかったしな。
 シグさんに話して、とりあえずここに来たってわけだ。」
「…………なによ、それ………。」
涙がひとすじ、頬をつたう。
「だって、門の向こうに行ったんじゃなかったの…………?
 もう、帰ってこないんじゃなかったの………?
 待つことすら、無意味なんじゃなかったの……?
 …………………。」
「………………………。」
「……もう(あきら)めてたの……。待っててもムダ、…それくらいわかってたから。
 必死に、自分に言い訳をして……。」
「…………………。」
「………………。」

「…………で?」
「え?」
「おまえはさ、嬉しいわけ、嬉しくないわけ?」
「……………………嬉しいに、決まってるでしょ。」
「じゃぁいいじゃんか。な、だから………。」
あたしの頬に流れた涙をぬぐう。

「もう泣くな。」


「…………ふわぁぁ。………。…?」
日が顔に当たる。…いつもと変わらない午後。
いつの間にか眠っていたあたしは、それが夢だったと(さと)った。


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ども。映画その後ネタです。ははは、終わりがてきとーでスミマセン。
もう途中で「コレ現実にしちゃってもいいかなー」とか思ってました。
でもやっぱり、こういう形にしました。だってアルどうしようとか思ったんです。
「エドだけいきなりあっちに行ってヤバイ?」とか思って。

2006年2月25日 UP