雪が溶けたら   ウィンリィ視点

冬。―リゼンブール村に珍しく雪が降った。
「雪……かぁ。」
久しぶりに見た。
エド達と雪だるま作って遊んだっけなぁ。

「ウィンリィ!ほら、オレのでかいぞ!」
「ボクの方がおっきいよー。ね、ウィンリ……ィ…。」
「た〜す〜け〜て〜。」
「なんで雪に埋まってんだお前!」
「上から雪が落ちてきたのぉ〜。」
「上?………あぁ、木から落ちてきたんだ。」
「たぁ〜すぅ〜けぇ〜てぇ〜。」
「あぁゴメン!」
「掘るぞアル!」
二人とも犬みたいだった。
「あ、ありがとう。……大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ。ウィンリィのためなら。」
「あっ!お前ズルっ!抜け駆けすんなー!」
「…はっくしょ!」
「っとぉ。大丈夫か?家につれて帰るか。ほら、乗れ。」
「あ、ありがとう、エド。」
おんぶしてもらって家まで帰ったっけ。
背中、暖かかくて、あのときはそんなに大きくなくて。

あのあと熱を出して、毎日お見舞いに来てくれたっけ。
毎日何か錬成して持ってきてくれて。
雪が溶ける頃、私の熱はすっかりひいて、
また三人で遊んで。

「ほら!ウィンリィこのお花好きでしょ?あげる!」
「わぁ!ありがとう!」
「へっへーん。オレはもっとすごいやつだぜー!」
「え?」
見るとやたら大きい錬成陣が書いてあって、
「それー!」
「きゃぁっ?!」
「わぁっ!」
ピカー!と錬成反応が起こって、
光が収まったそこには、お花畑があって。
「すごーい!ありがと、エドっ!」
「兄ちゃんいつの間にそんなの覚えたの?」
「本棚の高いところになんか本があってさ。頑張って取ったんだー。」
「あー!ずるーい!ボクにはなんにも言ってなかったじゃんかよぉー!」
「ふっふ〜ん!この前の仕返しだよ〜!」
あのあとマジ喧嘩が起こったっけ。

雪が溶けたら。
またあの花、見れるのかな。

ピカァッ!と目の前が光った。
「……っ!?」
雪が無くなって、あの花がたくさん咲いていた。
「よっ!ウィンリィ。」
「ただいま。ウィンリィ。」
「エド!アル!」
「すまん。また腕壊しちまった。これ、お詫びな。」
「許してやってよ。」
「………まぁ、今回はこの花に免じて許してあげる。」
「スミマセン。今度からは気をつけます。」
「今度壊したらスパナのフルコースだからね!」
「………ハイ。」

雪はそんなに積もることなく、
次の日には晴れて、ほとんど溶けてしまった。

雪が溶けたら。
そこにはあのお花畑が広がっていた。

おわり

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捧げモノ第一弾。これは福瀬奈菜様に 挿し絵のお礼としてあげたものです。
いやー、あんなにステキな挿し絵なのにこんなSSで申し訳ありませぬ。
描いていただいた挿絵はこちら

2006年5月17日 UP