魔術師 対 邪術師 第5話−名前−
「すんませーん!」
「はいはい……あら?あなたはこの前の………。」
「えぇ。許可証、持ってきました。」
「本当に?………あら、マスタング大佐じゃない。……分かったわ、今持ってくるわね。」
「よっしゃ!」
「えーと、たしかこっちの……あ、あったあった。……はい、これよ。」
「ありがとうございます!」
係員が持ってきたのは不思議な模様の表紙の本。
魔法陣のようなものが描かれ、
古代文字か何かで字が書いてあった。
「早速観(んぞ!」
「……………………あれ?」
「ん?どうしたジャクリア。」
「この本の表紙、どこかで観たような……………?」
「うそだろ、そんな。閲覧許可がいるんだぜ?」
「………そうよね、うん。そうそう。」
「えーと、『邪術の発祥』。こんなのはどうでもいいな。
封印の解き方、封印の解き方………………え?」
「どうしたの、兄さん?」
『邪術の発祥』の項目をぺらぺらと飛ばすように見ていたエドワードの動きが止まる。
のぞき込むアルフォンスとジャクリアにも、その理由がすぐに分かった。
「生み出したのは、『フェヴリン・シャイ・フェクショリア』………!
「…………思い出した!この本、お姉ちゃんの机の上で見たの!」
「じゃぁ、ウィンリィに術をかけたのは…………。」
「お姉ちゃん?!」
…………………………。
「兄さん!解き方解き方!」
「あ、そうか解き方!」
三人でよく目を凝(らし、見つけたのは最後のほう。
「あった!封印邪術、“ケゥメータ”。特定の人物の記憶を全て封印することができる。
かけ方は…………………。」
結構面倒くさいようだ。
何行も何行も長ったらしく書いてあった。
「………とき方は…………ってオイ!」
「ページが………破かれてる?!」
「じゃぁ、解き方は分からないってことっ?」
「…………しゃーない!レンラークに戻って直接ウェルチアに問いただしてやる!」
レンラークに戻ったエドワード達は、まずジャクリアの家に行ってみた。
ウェルチアの部屋の本棚の隅(っこに
図書館で読んだ、あの本があった。
「よう!お帰り、エドワード!方法は見つかったか?」
「それより!ウェルチア!ウェルチアはどこだ?!」
「ウェルチア?………あぁ、さっき裏山に入っていったよ。」
「サンキュウッ!」
「あ、おいエドワード!」
三人の耳には何も聞こえていなかった。
信じたくないジャクリアと、早く見つけたいエドワード、アルフォンス。
裏山に入ってから数十分後。
山頂近くに、ウェルチアはいた。
「ウェルチアッ!」
「…あれ、エドにアル。ジャクリアも。……どうしたのみんな、怖い顔して。」
「どうしたもこうしたもあるか!お前だったんだな!ウィンリィに術をかけたのは!」
「………なんのこと?」
「ふざけるなっ!……ここに来る前にお前ン家(に寄ってきた!
見つけたぜ、邪術の本!」
「……で?なんで私なの?ジャクリアかもしれないじゃない。」
「………それはないな。あんなに大がかりな魔……邪術、ジャクリアが使えるわけない。
邪術を使うのにも、魔力が必要だ。ジャクリアにはあんなに魔力はない。
この村であんな大がかりな術が使えそうな力を持っているのは、オレか、お前だけだ。」
「……それもそうね。…そう。私よ。……私がウィンリィに術をかけたわ。」
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2006年2月15日 UP